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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

脳動脈瘤のAI画像診断

更新日:2020年6月20日

朝、新聞読むと、「AI診断ソフトウェアが2mmより大きい動脈瘤を検出する」

とい記事があった。



「日本の医療スタートアップ、頑張れ!!」と思う気持ちはもちろんあるのだが、一方で、

「それ、意味あるか?」というのが正直なところだ。


図示されていた動脈瘤(IC-cave動脈瘤)なんて、まずくも膜下出血を起こしません。

(医療の性質上100%起こさないとは言えませんが、この図のものは99.99%大丈夫だと思います。)


脳卒中ガイドライン2015」では

"「未破裂脳動脈瘤の自然歴(破裂リスク)から考察すれば、下記の特徴を有する病変はより破裂の危険性の高い群に属し、治療とを含めた慎重な検討をすることが勧められる(グレードB)

① おおきさ5~7mm以上の未破裂脳動脈瘤

② 5mm未満であっても

  • A) 症候生の脳動脈瘤

  • B)前交通動脈、および内頸動脈ー後交通動脈などの部位に存在する脳動脈瘤

  • C)Dome Neck aspect比が大きい (以下略)"


2mmの未破裂脳動脈瘤が見つかっても根治的治療(開頭手術、血管内手術)することは、ない。

そして見つかった未破裂脳動脈瘤は、「病気として」保健医療で、(一部税金を使って)経過観察することになるだろう。

(経過観察中に大きくなれば、治療を考えることになるが、5mm未満で増大傾向を示す人は2,3%/年。100人診ていて2,3人)


では、未破裂脳動脈瘤を持っている人のうち、治療を考える5mm以上の方がどれくらいいるのか?

六本木のドックからの報告で、『4070人調べたら188個の動脈瘤が見つかったが、そのうち5mm以上のものは14個(7%。うち3つは、まずくも膜下出血を起こさない部分)。』

174個(93%)は上記のように、病気として扱われるようになるのだろう。

(J Neurosurg. 2018 Apr 6;130(2):573-578)



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ただ、もやもやしていたのは「エルピクセルがどうこう」というよりは、

「臨床的にほとんど問題にならない病変を見つけてしまうこと」の是非が無視されていることが問題だ。


結局、そのために「未破裂脳動脈瘤があるので、専門医を受診して下さい」

ということで、あまり意味のない通院が必要になったり、不安感だけあおられてQOLが低下するということになるのであれば、本末転倒だろう。


そこの問題を無視して「病気の解像度」だけ上げることは、人々の幸福に繋がるとは思えない。


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ただ「見逃しを防ぐこと」自体は、訴訟を防ぐ上で、役に立つのかも知れないので、ドックを行っているクリニックや、病院には需要があるのかもしれない。

あくまで読影医の補助として。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)



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