脳動脈瘤の診断に用いられる検査には、MRA (MR angiography, MRIによる血管検査ということ)、CTA (CT angiography, CTによる検査)、DSA(カテーテルによる検査)があります。
それぞれの検査に長所・短所があり、必要に応じて使い分けます。
MRAは通常、造影剤を用いず、放射線による被曝もないことから、もっとも患者さんの身体には優しい(負担が少ない)とされています。一方、血管の壁ではなく、中を流れる血流の速さを見えるようにしているため、正確な形が分かりにくいなどの欠点があります。
(三叉神経痛などでよく用いられる脳槽や神経を見る条件があり、それを用いると動脈瘤の外径や、細い枝・神経との関係、癒着具合が分かり、手術前の評価に有用という論文を2011年ころに書きました。今でも実際有用で、形もよく分かります。)
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一方、解像度(どれくらい細かいところまで分かるか)という点ではカテーテルを用いたDSA検査が最も詳しく分かります。しかし、動脈からカテーテルを挿入して、頚動脈から造影剤を流すということもあって、脳梗塞や、検査後の動脈からの出血などのリスクもあり、入院での検査になることが一般的です。
造影剤を用いる検査ではありますが、見たい動脈だけを選んで、少量の造影剤で撮影することが可能なので、腎臓のはたらきが悪く、できるだけ造影剤を使いたくない場合にも、カテーテル検査を行う場合があります。
リスクがある検査であり、開頭手術で"どうしても"必要なことはあまりないので、当院では省略することが多いです。
大型の動脈瘤などで、頚動脈を長時間止める必要がある場合には、止めても自然なバイパス血管があるのかどうか=後遺症に繋がらないか、を調べるために検査させていただく場合もあります。
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CTAは、DSAまでの解像度はないですが、動脈瘤の形状や、頭蓋骨との位置関係、石灰化の有無など、MRAよりも詳しい情報が得られ、DSAと同じく造影剤は使いますが、静脈からの投与なので、外来で検査ができるというメリットがあります。
(当科では、治療が必要ない小さい動脈瘤などはMRAで経過を見て、変化が見られたり、治療する場合にはCTAを撮影するようにしています。(開頭手術の場合))
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
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このCTAは、DSAよりも造影剤を多く使うのですが、撮影する時間を長くすることで、動脈瘤の拍動を映し出すことができます。
2004年に藤田保健衛生大学の加藤先生らが報告しており、おそらく壁の薄い部分が拍動しているはずで、手術するかどうかを決めるのに役立ちそうではあります。
しかし、大きな欠点があって、最近のCTは被曝量が減ってはいますが、同じ部分に比較的長時間、放射線(X線)が当たるため、脱毛が起こることがあり、一般的には行われません。(当科でも行っていません)
この、3次元の画像に「時間」の要素を加えた4D-CTで、不規則な拍動がくも膜下出血と関連しているのではないか?という研究があって、そのために書き始めたのですが、あまり面白い論文ではなかったので論文紹介は没にしました。
*治療をお勧めする未破裂動脈瘤についてはこちら
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