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忘年会/新年会外傷

執筆者の写真: 木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

年末年始、病院としては毎年恒例ではあるが、飲酒にともなう外傷が(急性アルコール中毒とともに)増える。

しらふで酔っ払いの相手するのが好きな人もいるかもしれないが、暴れたり暴言(そのた色々)吐いたり、医療機関側としてはできれば避けたいのではないだろうか。


少なくとも自分自身は、頭がざっくり切れているので縫合しようとして殴られたこともあり、極力接したくない。


10年以上前に某救急センター長が、「うちは酔っ払いは診ねえ!」と、言い切っていて、それはそれでアリだと思ったものだ。


とはいえ、救急病院勤務の身としては、来たら診るしかないというのが実際のところである。

暴力・暴言がなければ、淡々と、傷を縫うなりCTを撮るなりするだけなので、無感情に機械のようにこなしていくだけである。

酔っ払っていても、「普段はきっと普通に、仕事なり生活している人だろう」「たまには羽目を外しちゃうこともあるよね」と考えている。


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しかし、中には重症の酔っ払いもいて、こちらの方がより暗い気持ちになる。脳外科で言えば脳挫傷や、硬膜下血腫など、全身麻酔の手術が必要になり、かつ脳に実際に傷がついている人たちだ。

酔っ払っているために、うまく受け身がとれなかったり、階段などで転落したりするのだ。


これも運が良ければ、10日くらいの入院で自宅退院できることもあるが、多くの場合はリハビリ・療養生活が必要になったり、場合によっては意識が戻らないということもある。

つまり元の生活に戻れない、ということだ。


「飲み過ぎたせいで元の生活に戻れない?」


しかも30代〜50代の働き盛りの方が比較的多い。


脳神経外科, 救急
脳挫傷のCT(salt & pepper appearance)

もちろん、それで人生が終わる訳ではない。

でも関わりのある人には受け入れがたい事故だろう。


脳卒中とは違って、飲酒は自分でコントロールできることだ。

(昔は一気飲みの強制も多かったと思うが、今はかなり減っているだろう(検証してません))


飲み過ぎてしまうこともあるかもしれないが、そんなときは、なんとか家までたどり着いて横になっていてほしい。

なので

  • 酔っ払ったら階段(特に下り)はなるだけ避けましょう。

  • 階段を使うときは、できるだけ一人にならないで。(転んでそのまま気付かれない事例あり)

  • 酔っ払っていなくなった人がいたら、 探してあげて下さい(無粋かもしれませんが)



とtweetしたが、近所の渋谷駅の階段の多さに、愕然とした。。。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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