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内頚動脈狭窄症

 

ほとんどの方は、「のど仏」のすぐ外側で拍動を触れることができます。これが頚動脈です。正確には総頚動脈と呼ばれる部分になりますが、この動脈があごの骨の下あたりで、脳に栄養を送る血管(内頚動脈)と、顔面や舌などに栄養を送る血管(外頚動脈)に枝分れします。 

内頚動脈が枝分れするこの部分は、からだの中でも動脈硬化の”垢(あか)”がたまりやすい部分です。この垢のことをプラークとか粥腫と呼びますが、内頚動脈狭窄症というのは、ほとんどがこの部分に起こります。

 

症状

脳梗塞

内頚動脈にたまったプラークが原因となって、脳梗塞を起こすことがあります

具体的な症状は、影響された脳の部分によって異なります。

つまり、言葉を話すはたらきに関わる部分に脳梗塞が起こると、呂律が回らないとか、しゃべれないという症状が出ます。

一方、言葉を理解する部分に脳梗塞を起こした場合、うまくコミュニケーションが取れないため、急に認知症になったと思われることもあります。

手足の動きに関わる部分では麻痺を起こしますが、軽い麻痺の場合にはなんとなく動かしにくい、本人はしびれている、という場合もあります。

脳梗塞を起こす仕組みとしては2つのパターンが知られています。

  1. 血液が流れにくくなって脳梗塞を起こす。

 

頚動脈は小指くらいの太さの血管ですが、血管の内側にプラークがたまることによって、通路が狭くなり、流れる血液の量が減ることで、下流にあたる脳の組織にじゅうぶん血液が行き渡らなくなります。

動脈硬化自体はゆっくりと進行するものですが、たくさん汗をかくなど脱水になったり、何らかの理由で血圧が下がることによって、ぎりぎりまでなんとかなっていた部分に脳梗塞を起こしてしまいます。

2.プラークの一部が脳に流れていき、脳の血管を詰まらせる

プラークの中身は均一ではなく、柔らかいものもあれば、石のように固いものもあります。特に柔らかいものは、血液の拍動などにより、表面が破れて、中の柔らかい部分が脳に流れていくことがあります。

また血液の通り道が非常に狭くなっているときは、狭くなったすぐ先の部分で血流が乱れ、血液が固まって脳にとんでいくこともあります。

一過性黒内障

内頚動脈は主に脳に栄養を送っていますが、眼の網膜もこの動脈から栄養を受けています。

前述のように、プラークの一部や、乱流で固まった血液の小さい塊が、網膜に流れていくと、狭くなっている側の眼が一時的に見えなくなることがあります。(多くの場合は一時的です)

このような症状は黒内障と呼ばれ、眼科を受診されることが多いですが、通常はいったん詰まった血栓は溶けてしまっているため、眼には異常を認めないことも多いです。

ところが、一過性黒内障は脳梗塞の前兆のことがあり、このような場合には早期に脳神経外科・脳卒中科・神経内科などを受診する必要があります。

耳鳴り

プラークによって血液の通り道が狭くなっていると、その部分で血流が早くなります。ちょうど水鉄砲のようになるわけですが、このために狭くなっている側で、心臓の拍動に一致したシューッ、シューッという音が聞こえるということで、医療機関を受診されることがあります。

 

無症状

脳ドックなどで、脳のMRI検査(特に血管の検査であるMRA)を行ったり、頚動脈のエコー検査を行ったりすると、症状を出してないプラークが発見されることがあります。

原因

動脈硬化の最大の原因は、加齢です。つまり、20代、30代頃からゆっくりと動脈の内側が厚くなっていきます。

これに加えて、喫煙、高血圧、脂質異常症(コレステロールや中性脂肪が高い)、糖尿病などが加わると、そうでない方と比べて進みが早くなり、プラークがたまっているのが発見されます。

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