東大の医局の会があり、特別講演というかたちで昭和大学 水谷教授の講演を拝聴しました。
脳を過剰に(?)露出している術野など、受け入れがたい部分もあるものの、若いDr.の教育の話は参考になるところもありました。
特に脳べら固定器を医局に準備しておいて、自由に練習させるというのは良いアイデアだと思います。
確かに脳べらが上手く使えるようになるというのは、脳動脈瘤をはじめとする脳槽の手術では一つの到達すべきポイントであり、脳を傷めずに適切な圧・適切な方向に自在にかけられるようになれば、あとは経験値を積めば良いだけだと思っています。
ただ、医局にMayfield固定器やバディハロー(脳べら固定器、多分>100万円)を準備するのは、一般病院では費用的に難しいので、そういうのこそ大学で学んで欲しいところ。
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もう1点は、顕微鏡でハサミが震えてしまう人は、「親指で閉じるようにするのが良い」という話。
脳外科の顕微鏡用のハサミ(マイクロ剪刀)はピンセットのように持って使うものですが、手が安定しないと先端が震えて、正確に切れません。
水谷先生ご自身も震えないタイプだと思いますが、若いDr.がなんで震えるのかを見ていて思ったということでした。
講演では、右手の小指球をベタ置きにして、親指を閉じるのが良い、ということ。
そういう考え方もあるかもしれません。
(やってみた動画)
「美容師は最初にハサミの使い方を教わるのに、脳外科はそういうことはあまり教わらない」と仰っていましたが、確かにそうかもしれないので、ついでに自分が思っていることを追記しておきます。
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まず持ち方ですが、ハサミを3点で支えるというのが基本です。
つまり、先端を閉じるときは親指と人差し指に力を入れる訳ですが、この2本のほかに中指を3点目の支えにすることで安定します。
実際に自分のマイクロ剪刀で確認してみると、自分の場合は人差し指で閉じている(ことが多い)ことが分かりました。
これは、水谷先生が持ち手がラウンドで、先端が微弯の道具を使っていらっしゃるのに対して、(手元にあったのが)村中医療器の剪刀で持ち手がフラットだからというのも影響しているでしょう。
人差し指で閉じるか、親指で閉じるか。
これはどちらでも良いと思いますが、
人差し指で閉じるのであれば、中指と親指は固定して支えにする。
親指で閉じるのであれば、中指と人差し指は固定して支えにする。
とりあえず慣れてくるまでは、どちらかに統一する。
というのが良いと思いました。
余談ですが、震える人の一部は、2枚の刃先の真ん中で切ると思っているのでは?と思うことがありましたが、実際には、片方の刃は動かさず、もう一枚の刃をその固定している刃先に「寄せて」切るというのが分かっていないように思ったので、同じことを別の方法で表現しているのかもしれません。
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震える原因のもう1つは、ハサミの長さを調節できていないということです。
つまり、表面を切る時と、深部のものを切るときでは、持ち方を変える必要があります。
実際にほとんどの動脈瘤の手術は上山先生のハサミだけで完遂できることが多いですが、それは持ち方を変えているからです。
例えば表面のものを切ろうと思えば、短く持つ方が安定します。
もちろん、どの道具も一番バランスの良い位置というのがあり、そこから外れると重量バランスが崩れることになりますが、それは指との接触面積を増やすことでカバーします。
また、この少しアンバランスな状態で切るのに慣れるのは、卓上顕微鏡で練習可能です。
つまり、バイパス練習の際に手を置く台の高さを変えることで、糸を切る深さが変わるということです。
バイヨネットの道具も原則は同じで、中指ともう1本の指を支えにして、片側だけ寄せるということに気をつければ良いと思いますが、試して何か書くことがあればまた話題にしようと思います。
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
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