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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

開頭手術後にやってはいけないこと

更新日:2021年8月4日

脳動脈瘤でも腫瘍の手術でも、開頭手術後には避けていただきたいこと、注意していただきたいことがあります。

多くは、脳がどうこうではなく、皮膚や骨の問題なので、他の外科手術にもある程度共通することです。


注:以下の内容は、自分が手術した患者さんにお伝えしている内容ですが、実際の制限については、担当医にご相談ください。


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1.毛染め・パーマ

切開した皮膚が元通り(に近い状態)になるには時間がかかります。そのため、皮膚を元通りに修復しようとするはたらきを妨げるような刺激は避けるべきです。


頭の手術では、切開が髪に隠れるようにデザインするのが通常なので、髪のケアが問題になります。いわゆる毛染めや、パーマ液は刺激が強いため、傷を修復する細胞を傷める可能性が高く、手術後2,3ヶ月は避けていただくようにお願いしています。


(創(きず)の状態によっては「ヘアマニキュアならいいですよ」ということもありますが、担当の医師と相談ください)

散髪は特に問題ないですが、美(理)容師さんに「切った後」であることを伝えていただければ、配慮してもらえるはずです。


2. プール、(温泉)

メスを入れた後の創は、しばらくは感染にも弱いです。そのため、プールも温泉も、消毒の基準が定められていて、普通に利用するには清潔な環境ですが、やはり創に感染を起こす可能性があるため、これも2,3ヶ月は我慢していただいています。


全然違う環境ですが、「どうしても行きたくて」と、術後3週間で海で泳いだ方は、表面だけで済みましたが、細菌感染を起こし、抗生物質の内服治療が必要になりました。


3.運動

2.と関連しますが、ラグビーのような創に土が付いてしまうような運動は避けていただく必要があります。

軽いジョギングや、ジムでのトレーニングについては、汗をかいてそのままにせず、シャワーを浴びるなどして、清潔を保っていただければ、大丈夫だと考えています。


4.ヘッドスパ(マッサージ)

開頭した部分はチタン製のプレート(や場合によっては糸で)周りの骨と固定されています。

普通の生活で、ちょっとぶつけた程度ではずれたりしないようになっていますが、手足の骨折と同じく、周りの骨とくっついてそれなりの強度が出てくるには6ヶ月程度かかると考えられます。

そのため、頭のマッサージは、少なくとも半年程度、開頭部分は避ける方がよいと考えています。


5.飛行機

「手術後、飛行機に乗っても大丈夫か?」という質問もよくいただきます。

これは脳外科ならではの事情になりますが、手術直後には、頭蓋骨の内側に空気が残っており、その状態で飛行機に乗るのは避ける方がよいでしょう。

(ペットボトルの中の空気が膨張するのと同様な状態になる可能性があります。)


この残っている空気は、徐々に吸収されるので、吸収されたら大丈夫だと思います。

(以前、東南アジアで働いている方が、術後3週間で飛行機で勤務地に戻られましたが、特に問題なかったようです)


ちなみに、固定用のチタンプレートで金属探知機が反応することはないようです。


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このように、術後、一時的にでも生活に制限が生じる開頭手術ですが、他の治療法と比べて、不都合を上回るメリットがある場合にお勧めしています。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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