クリスマスイブには心筋梗塞が多い?
- 木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター
- 2018年12月24日
- 読了時間: 2分
更新日:2019年1月19日
メディカルトリビューンに紹介されていた論文
BMJ 2018; 363 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k4811 (Published 12 December 2018)
スウェーデンの研究だが、1998年から2013年の間に心臓病のデータベース(SWEDEHEART registry)、つまり狭心症や急性心筋梗塞で専門病院に入院したほぼ全ての患者さんが登録されているデータベースを利用。
クリスマスや元旦、イースター、St. John’s Dayや、FIFA World Cupの期間中が、ほかの時期より発症率が高いかを調べている。
結果として、同時期に283,014人の心筋梗塞による入院があり、95,176人が心電図上ST上昇を伴う心筋梗塞だった。
主な休日のうちでは、クリスマスイヴ、クリスマス、Boxing Day, 元日のリスクが高く、大晦日などは関係しなかった。

FIFA World Cup, UEA European Championshipsは関係せず、男性では夏期オリンピックがやや発症が高くなる傾向がみられたということだが、統計学的に優位ではなかった。
2006年ドイツで行われたワールドカップの際にはMunchenで心筋梗塞が増えたという研究があるが、 スウェーデンではそこまでは盛り上がらなかったのかもしれない。
またこの研究では1年の52週目、月曜、午前8時に心筋梗塞の発症がピークになっていた。午前8時というのは、血中コルチゾル濃度が上がったり、血液粘度が上がることが上がることが影響しているのだろう。
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日本とスウェーデンでクリスマスの意味合いが同じとはいえないかもしれないが、クリスマスイ・イヴが最もリスクが高いというのは、やはり恋愛感情が盛り上がって「うっ…」となるということかもしれない。
一方、欧州心臓病学会の推奨としては
クリスマスを愛する大切な人たちと楽しく過ごす Class Iとされている。
孤独は脳卒中のリスクと言われているが、「楽しく過ごす相手がいないこと」が、イヴの心筋梗塞リスクを上げているのかもしれない。
Merry Christmas !
(追記; 米国留学していた医師の意見としては、”Haloweenから食べ過ぎなんだよ、彼らは。その付けが年末に来るのかもしれないよ"というのもあった。)
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
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