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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

くも膜下出血はどれくらい再発するか?

更新日:2019年1月26日

くも膜下出血が起こると、おおざっぱに言って3人に1人が亡くなり、3人に1人に重い後遺症が残る、今でも怖い病気のひとつだ。


では、くも膜下出血を発症し、治療が順調にいって元の生活に戻れたとして、どれくらい再発の可能性があるのだろう。


(ただ病気はくも膜下出血だけではないし、年齢を重ねるにつれ他の病気を患う可能性が増えることに注意が必要。)


Stroke. 1998 Dec;29(12):2511-3.



自分の脳血管障害手術の最初の師匠である堤一生先生が、会津中央病院で行った研究。


会津若松, アルツ磐梯, スキー
アルツ磐梯ゲレンデ(会津、磐梯町)から見た猪苗代湖

会津中央病院は、会津若松市内から少し離れたところに位置しており、老舗の竹田総合病院にも脳外科があるが、「脳卒中と言えば中央病院」という評判だった。

僕が在職していたときも脳卒中の手術( および内科的治療 )がほとんどで、くも膜下出血の件数も多い病院だ。


1976年から1994年に会津中央病院で開頭クリッピング術を受けたくも膜下出血の患者さん 425人のうち、動脈瘤が完全に治療されて、3年以上生きていた方(220人)を追跡して、何人が再びくも膜下出血を起こしたかを調べた。


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会津地方は四方を山で囲まれており、福島県の一部ではあるが、一つの地域として独自の文化を育んできた。

そのため転入転出がすくない地域だったことと、個人情報に関する規制が今ほど厳しくなかったことから、転居された方に関しても開業されているドクターから経過を伺うことができ、ほぼ全ての患者さんの経過を追えた研究であることころが重要。


このような一定地域に住んでいる方の経過を見た研究で有名なものとして久山町研究(約8,400人)がある。もちろん久山町研究は前向きに疫学調査を行っているものであり、直接比べるわけにはいかないが、くも膜下出血が10万人あたり20~50人程度の頻度でしか起こらないことを考えると、会津の人口15万人の中の長期の調査は今でも貴重だ。

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話は戻り、対象となった220人の方を平均9.9年(3~21年) 追跡することができた。


1人だけ術後7年で音信が途絶え、29人がくも膜下出血以外の理由で亡くなっていた(死因不明は1人のみ)

6人の方がくも膜下出血を再発したほか、それとは別に2人の方で, 術後12年と18年に治療した動脈瘤の再発が見られた。くも膜下出血を起こした6人のうち3人はクリップした動脈瘤の再発。


生存時間分析を行うと、5年の累積再発率0.5%, 10年で2.2%, (20年で9%)という頻度だった。


くも膜下出血, 開頭クリッピング術, 脳動脈瘤
くも膜下出血後の再発

くも膜下出血を起こされたら、再発の不安はあるにしても、毎年検査する必要はないように思われるが、その一方で、やはり5年に1回くらいは検査する方がよいのではないだろうか。



ちなみにこれはクリッピング術の結果であり、コイル塞栓術後の再発率はもう少し高いと思われ、きちんとした経過観察が必要だろう。



(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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くも膜下出血を起こさない脳動脈瘤

一般的に大きさ5mmというのが(日本人では)治療を考える上で一つの基準になりますが、サイズが大きめでもくも膜下出血のリスクは高くないという部分もあります。 代表的なものに『海綿静脈洞部内頸動脈』にできる動脈瘤があります。 どうしてくも膜下出血を起こしにくいのか、というかほとんど起こさないのですが、もちろん理由があります。 くも膜下出血を起こす場所ではないからです。 脳は頭蓋骨の内側にあるわけですが

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