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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

側枝の処理(バイパスtips)

更新日:2018年11月3日

また脳血管バイパスのtips。


M4レベルの側枝を切断しても、MRIで分かるような梗塞が出現することは稀と思われるが、少し太い枝になると躊躇するだろう。


症状として何も出なくても、術後MRIの拡散強調画像で高信号が検出されるとがっくりくる。


完全にY字になっている部分であれば、3本ともクリップで遮断しようと考えるが、「切っても大丈夫」と思えるようなサイズの枝であれば、迷うところだ。


そこで、ここ6年くらいは、「原則、側枝は切らない」という方針でrecipientの準備を行っている。

吻合部位の設定も関わってくるが、基本的には、側枝周囲のarachnoid trabeculaを処理し、ある程度伸びるようにすれば、側枝も一緒に遮断クリップで噛むことで、切らずに済む場合が多い。


脳神経外科,バイパス手術,tips
側枝(矢印)の温存。実際にはその向こうに細い枝が2本ある。内腔がつぶれていれば吻合操作に影響はない。

このとき、側枝がクリップブレードとrecipientの血管壁の間に挟まれるように気をつけないと、動脈切開後にback flowに悩まされることになる。


back flowが来るのは、側枝がrecipientに対して裏側気味に位置していて、内腔がつぶれていないためなので、クリップをかけ直すか、ゼルフォームを裏に追加して、側枝を圧排させるだけでも、血流を遮断することができることがある。


また、前に書いた内容と重なるが、遮断クリップの先端が少し、ラバーシートの裏側に入るようにかけることで、ブレードの奥行き(深さ)が足りなくて遮断できないということが減る。


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側枝を残した場合、遮断を解除するときに再度注意が必要だ。

つまり、遮断時間を少しでも短くしようと、あまり考えずにクリップを外すと、この温存した側枝は壁も薄くて脆弱なので、せっかく温存したのに結局切れた、ということになりかねない。

ラバーシートを取り除き、(必要なら)度台にしているコラーゲンスポンジを取り除くまで愛護的に行うのがコツだ。


これでほとんどの場合、側枝を(少なくとも形態学的に)温存することができ、通常、MRIでも梗塞はできない。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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