top of page
執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

こうすれば一流の外科医になれる(?)

更新日:11月25日

Twitterで心臓外科の先生(@RyosukeKowatari)がお薦めしていた本。



実際には、そのタイミングでAmazon, 楽天で売り切れていたのでKindleで原書を試し読みした後、購入。(英語が平易だったのと安かったため)。


著者はNew York Yankeesでスポーツドクターで、実際に年収何億ドルの選手の手術を任されていることを考えると一流の整形外科といえるだろう。

それと比べると、自分が一流かどうかという評価はともかくであるが、”ちゃんとした”外科医になる方法論としては良いのではないかと思った。


日本語のオビに松井秀喜氏推薦と書かれているように、修練とか芸事とかmasteryとか言われる分野には"およそ共通する上達法がある"

これしかない、ということではなく、一定期間内に上達する確率が高い方法という方が良いかもしれない。


そして、現在は、そういう「一流になった人が、どのようにして一流になってきたか」を研究している人も沢山いる。

(他の分野に応用することで、一流営業マンや一流コンサルタントをできるだけ早く育成できるようになるためと思われる)


A.エリクソンの「1万時間の法則」などは(解析方法についての批判はいろいろあるようだが)非常に有名。



自分である程度手術ができるようになると、脳外科医としてさらに上達するためには何をすれば良いか?というのは折に触れ考える必要があり、この手の本は結構読んでいる。


*************


すぐ読める本なので、特に専門医前後の若い外科医には読んで欲しいと思うが、例えば


When I was a resident and fellow, I wrote down—in detail—the steps of each surgical case I assisted in, using my composition book I drew pictures of the anatomical structures, and numbered the sequence of suture passing with as much detail as possible.

(手洗いして入った手術は、詳細なメモを取る。”in detail”というところが重要)


Skill relates to the amount of time multiplied by the effort or strain.

(症例数や時間だけではダメということ)


Embracing the struggle with a mental attitude of “I will get this” is essential.

(助手に入ったときも”この手術をモノにしてやる”という態度


the best-run hospitals reported 10 times more errors than the poorly run hospitals.

(良い病院はインシデントレポートの報告数が多い)


A fine balance exists between confidence and recognizing potential problems and avoiding them with maintenance of positive thoughts versus negative, fearful thinking.

(手術に臨む外科医には楽観的な部分と、考え得る合併症について十分考えるfearful thinkingが必要)

など。


また、少し経験値が増えたDr.でも


My tip is to never go to a lecture passively, no matter what. I write something down from any lecture or experience I attend, text myself the note, and then file it in my notebook. And then, I study my notebook at a later date.

(講演を聴くときも、ただ聞き流すのではなく、何か抽出する)


My greatest learning experiences now come from small discussions with other talented surgeons, often the ones with gray hair.

(年配の名医との短時間のdiscussionが学びになっている)

など。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)


ついでにMalcom Gradwell [Outliers]もお薦めです。



最新記事

すべて表示

あの時はCT必要だって言ったじゃん!

転倒して頭をぶつけて脳外科の外来や、救急外来を受診される方はたくさんいます。 皮膚が切れて出血した」ということでの受診、救急搬送であれば、創の深さを評価して、必要なら縫ったり、ステープラーでバチンと止めて傷を寄せ、止血する処置を行います。...

Commenti


bottom of page