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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

外視鏡ってどうなんだろう?

顕微鏡の代わりに、術野をカメラで写し、術者はモニタを見て手術をする外視鏡。


以前にも、「これは顕微鏡の代わりにはならないだろう」と思ったが、いくつかのメーカーから製品が出て、また企業から借りて使ってみた、という演題があったので、神経内視鏡学会に参加してきた。


外視鏡のメリットとしてあげられていたこととして、

  1. 顕微鏡よりも術者の身体的負担が少ない。

  2. 術者以外も、術者と同様の視野で観察することができ、教育面で有用性が高い。

  3. 顕微鏡よりも高倍率にできる。

  4. モニタの出力を変えることで、顕微鏡では見えないものが見える。

などがあった。

別に開発に協力しているとか、資金提供を受けている訳でもないだろうが、自分の感想としては「やっぱり要らないな」というものであった。


上記メリットとしてあげられている内容のうち、2番目の教育面に関しては、術者と同じ視野で手術の進行を経験できるという点はあるかもしれない。

一方で、助手は見ている角度が違うので、画面を縦置きにしたり、「二人羽織」で(!!)手術をしたりと、涙ぐましい努力をして、この新しい器械を使っていた。

プレゼンしている術者も普通の手術が普通にできる方々なので、「どうしてそこまでして使うの?」としか思えない。

(道具に合わせてどうする?)


術者の身体的負担が少ないというのも眉唾で、そもそも顕微鏡手術では、10時間でも20時間でも集中力が切れないように、患者さんも術者も楽な姿勢(良肢位)で体位を取ったり、椅子の高さや顕微鏡のアイピースを調整するのが基本だろう。

上手な術者は、普通に座って読書するような姿勢で手術をしている。


また、人間工学的に、ということを言っていたが、head-upを長く続けるというのは、そもそも人間工学的に良い作戦ではないと思われる。

読書にしてもPC操作にしても、見る対象は目の高さより下の方が、見やすく頸にも負担が少ないはずだ。



さらに、モニタを長く見ているよりも、自分の目で焦点を合わせられる顕微鏡手術の方が楽だ。

これは結局、顕微鏡を上手く使えていない人が言っているだけではないのだろうか。


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倍率については、デジタルズームが使える外視鏡の方が高倍率にできるだろうが、そんな倍率が必要なシーンがどれくらいあるのだろう?

(もやもや病のバイパスなどではさらに細い血管をつなげる、というメリットがあるかもしれない。)

ただしデジタルズームは解像度が落ちるというのはデジカメと同様だ。


モニタで色を変えて、顕微鏡では見えないものを見る、というのも、演者も「どういうことに使えるか検討中」とのこと。


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内視鏡で補助するのとは違い、外視鏡は真下のものを映し出すという効果しかなく、見たいものを捕らえるためには、脳を圧排しなければならない。

術者の体性感覚から分離して、視野だけ得ようとすると、この脳の圧排が強くなる危惧がぬぐえないだろう。

実際にプレゼンテーションされていたのは脳の表面にある、「それルーペでもできるよね?」というような病変が多く、この体性感覚との分離の問題は解決されてないようだった。


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ケチつけるような内容ばかりになってしまったが、脊椎外科とか、頚部の手術では使える可能性があるかもしれません。

(Olympus ORBEYEⓇ 5K万円の価値があるかどうかはまた別問題)


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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