前回のブログで、未破裂動脈瘤が見つかっている患者さんから「○○しても良いか」という質問をいただくという話を書きました。
例えば筋トレで下っ腹に力を入れたり、歯を食いしばったりすると、脳の血管がプチンとなる印象があるのかと思います。
また、「セックスしてもよいか?」という方は”腹上死”という言葉を連想されるのかもしれません。
特定の「○○をしてもよいか?」という問いに答えるのは難しいですが、「くも膜下出血が起こった時に何をしていたか?」という研究はいくつかあるようで、脳外科の辞書的教科書(脳神経外科学 原著 太田富雄 金芳堂)に載っています。
それによると、古いですが、本邦からは小松ら(1978)の報告で
749件のくも膜下出血のうち、「特に何をしていたというわけでもないタイミング(通常の状態)」187件(25%)というのが最も多く、次いで
頭を上げた時/うつむいた時 176件 (24%)
排便・排尿中 135件 (18%)
興奮82件
洗濯・炊事63件
入浴中 52件 (7%)
睡眠中46件
となっており、性交中は1件(0.1%)と報告しています。
海外の論文ではSchievinkら (1989年)で
通常の状態 172件 (34.4%)
休息/睡眠中 59件 (11.8%)
緊張・努力 214件 (42.8%)となっており、この中に排便・排尿 (38件)、セックス (32件)、運動・練習 (19件)などが含まれている。
小松らの報告では、興奮が82件とされており、性交が別項目となっていますが、この中に筋トレも含まれているのかもしれません。
この何をしているわけでもない、というのが微妙ですが、「寝てても起こるなら別に活動を制限しなくてもいいじゃん?」という方もいれば「寝るのは避けられないが、避けられる行動は止めよう」と考える人もいるかと思います。
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実際問題としては、この統計はくも膜下出血を起こした患者さんを分類したものなので、未破裂動脈瘤の方が避けるべき活動と同じではありません。
特に、大きさや部位・形状などから「積極的な治療」を勧めない方がくも膜下出血を起こすのは比較的稀なので、そこまで気にする必要はないと思っています。
また、未破裂動脈瘤のせいでどうしてもやりたいことができない、QOLが著しく低下している、という場合には、根治的治療(手術)も検討してもよいと思います。
ただ、人によって捉え方は異なるので、Web上の素性の分からない医者ではなく、担当の医師と相談するなり、正式なセカンドオピニオンを求めるなどして検討しましょう。
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因みに限られた経験ではありますが、性交中にくも膜下出血を起こした方は何件か見たことがありますが、奥さんとの〜というケースは今のところほとんどありません。
ドーパミンとオキシトシンの割合が違うのでしょうか。
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
最近、肩こり対策にぶら下がり健康器を購入しました。
参考にしたYouTube動画
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