top of page

​活動報告

​手術を中心とした脳外科の臨床専門ですが、ときどききちんとした(専門領域の)文筆活動も行っています。

妊娠中に増大した髄膜腫の手術(ビデオ・ジャーナル)

妊娠中に「見え方がおかしい」ということから精密検査を行ったところ、視神経を圧迫する髄膜腫が指摘された患者さんです。

「おれの手術を見ろ!」という手術自慢の要素が無いわけではありませんが、胎児の発達を考えると、手術は遅らせたい。

一方で、腫瘍が大きくなると(片目だとしても)視力を失うリスクがあります。また言語優位半球であるため、手術が困難になり、脳に大きな傷が付くと、最悪、言葉を失うリスクもあったケースです。

初診時点で、(一回りくらい大きくなっても手術リスクはそれほど変わらないだろう)という読みがありました。また、当院(日本赤十字社医療センター)では500gくらいで生まれても、ベビーをケアしてくれる体制はありますが、やはり児の脳出血を含めた合併症リスクが高く、できれば32週くらいまでお腹の中にいてくれる方が、児の成長を考えると望ましい。

この辺りを産科ドクターと相談しながら経過を見ることにしましたが、予想以上に腫瘍が増大し、手術も結構大変でした。

​(もちろん、いちばん大変だったのは患者さんご本人ですが)

結局32週まで粘ることができ、帝王切開後数日で開頭手術を行いました。

​手術前にはかなりぼうっとされていて、ギリギリのタイミングだったと思いますが、幸い視力も十全ではないものの回復されました。

女性ホルモンが髄膜腫の増大に影響することはよく知られていますが、妊娠中は他にも要素があるのか、予想以上の増大を認めたケースでした。

この患者さんは、帝王切開でお腹を切開した後、開頭手術も行ったわけですが、もちろん筋肉などの愛護的操作を心がけているのもありますが、後日、​「頭の傷よりお腹の傷の方が痛い」と仰っておられました。これを踏まえて(?)「開頭手術の傷は(当院では)帝王切開より痛く無かったようです」と説明させていただいています。

前床突起部髄膜腫は視神経・頸動脈など重要構造物の近くにでき、視神経や頸動脈、および頸動脈から枝分れする細い枝をきちんと残せないと、失明や麻痺が後遺症として残る腫瘍です。

また頸動脈を傷つけるようなことがあれば、脳梗塞で最悪命に関わることもあります。

そのため、安全に切除するためには腫瘍が発生している前症突起周辺の処理を適切に行う必要があります。

​前床突起の切除については、150件以上の経験があり専門誌に論文も書いていますが、この経験もあって多少腫瘍が大きくなっても本質的な手術の難度は変わらないという判断ができたと考えています。

FOLLOW US:

  • Facebookの社会的なアイコン
  • Twitterの社会のアイコン
bottom of page