脳神経外科 木村 俊運のページ
脳外科手術をより安全に
三叉神経痛の新しい手術
前ページでは再発三叉神経痛の手術について説明しました。
このページではここ10年くらいの間に、少しずつ広まってきているコーミングという手術について説明します。(2026年1月20日)

コーミング(combing)とは
三叉神経は脳神経の中では一番太い神経です。しかし、三叉神経鞘腫の手術などではしばしば、この太い神経が圧迫された結果、何本かの線維に分かれていることがあります。
また、「症状はぜったい三叉神経痛なのに、MRIでは圧迫している動脈がない」という場合でも手術が有効なことがありますが、その際、くも膜に引っ ぱられた三叉神経の一部がばらけていることがあります。
どんな方法?
コーミング(combing)のコームとは、"髪をとく櫛(comb)"のことですが、コーミングとは、三叉神経を何らの方法で、”櫛でとかすように”バラバラにする方法です。
手術の規模
三叉神経が見える範囲で櫛をとおすような手技になります。三叉神経が見えればよいので、通常の三叉神経痛の手術と皮膚切開、開頭は同じです。
合併症リスク
この治療が本質的に、脳微小血管減圧術(MVD)と同じ効果なのかは、自分の経験だけでは言い切れません。神経ブロック後の方で、コーミングを行った後(三叉神経痛は無くなったが)しびれが少し残っている、という患者さんがいます。(通常の脳微小血管減圧術では、しびれが残ることはありません)
三叉神経を直接操作することで徐脈を来すことがありますが、心停止するほどの徐脈は経験したことがありません。(麻酔科には薬品とこころの準備をしてもらって行います)
その他は一般的な脳微小血管減圧術と同様のリスク (聴力、感染、髄液漏など)です。
現在の結論
再発三叉神経痛や、MRI上圧迫血管が無い場合に、事前の承諾を得て行いますが、有効な方法という印象です。
再発三叉神経痛で、明らかに血管などが当たっている、という場合コーミングを行うかどうかは悩ましいところです。