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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

鈎付き鑷子(鈎ピン)について

更新日:2018年4月19日

それほど多くの病院で手術を行ったわけではないが、どこの病院の脳外科手術器械セットにも硬膜鈎ピンや、ふと短い、いわゆる(皮膚用)鈎ピンが入っている。


ピンセットの先に鈎が付いていて、この爪の間に組織が引っかかるため、把持しやすいというメリットがあるが、その一方で、強く持つと組織を傷めるというデメリットがある。


そのためだと思うが、形成外科では皮膚を把持する際に、アドソンのような先の小さいものはともかくとして普通の鈎ピンを使うことは余りないとも聞いたことがある(違っていたらスミマセン)。


硬膜鈎ピンという道具も、この鈎があるおかげで、いったん把持するとキープしやすいが、特に切開が小さいときに持とうとするときなどに、どうしてもこの爪の部分が硬膜下に先行する形になる。


そうするとクモ膜を引っかけたり、運が悪いと脳表の動脈を引っかけてしまうのでは?とパラノイア的に心配になる。

また硬膜の端を持つことで この部分が挫滅し、後で縫うときに避けやすいのではないかと思う。


上記の理由から、また勝手なこだわりではあるが、皮膚切開から硬膜操作まで無鈎の止血鑷子(止血ピン)を用いている。



無鈎で先端が細め、という以外にはあまりこだわりはなく、Mizuhoの東式鑷子無鈎とかマッカンドー無鈎といった、一般外科器械セットに入っているような鑷子だ。


最初は、特に硬膜を持つときに持ち直すことがあったが、把持圧をコントロールすることで、全く問題なく操作できる。


良いところは、道具の長軸方向以外に出っ張りがないので、見えない部分で何かを引っかける心配がないことと、組織が挫滅しないので、硬膜をpatchなしで縫うときに漏れにくいところである。

また、硬膜内以外の操作は、バイパス血管(donor)の剥離(の補助)も含めて全てこれで間に合うので、左手に持つ鑷子を選ばなくてよくなる(=省エネ)というところもメリットと言える。



「硬膜~」とか「吻合用~」とか用途別のような名前が付いている道具については、本当にそれがベストな道具なのか、一度考えてみるのも面白いかもしれない。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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