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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

頭部固定のとき、助手は頭を持つべきか

更新日:2018年5月4日

これも10年以上前に、自分の先入観というか、思考がルーチンになっているのを思い知らされた経験。


脳動脈瘤のクリッピングのときなどに頭部を3点固定して手術を行う際、患者さんの頭を助手に持ってもらって、その状態で頭の向きを調整して固定するように習った。


この頭を持っているというのが、短い時間ではあるものの、研修医の仕事である。


ときどき長考するドクターがいたり、自分もときどきあるが、思った位置にピンが入らなくてやり直しになったり、不運にも皮膚の動脈からムダに出血したりということが起こる。


特に疑問に思うことなく、5,6年同じようにやっていたが、確か医者7年目くらいに当時旭川赤十字病院の上山先生(現禎心会脳疾患研究所)の手術を見学に行く機会があった。


そこでは頭の台を抜く前に、助手にロックを外してもらった状態でピンをあてがって固定し、それから台を抜く。つまり順序を変えて行っているだけと言えばそれまでだが、ガツンと頭を殴られるような衝撃を受けた。(大袈裟)


この順番を変えることによって少なくとも以下のメリットがある。

  • 助手が頭を空中で持っている状態ではなく、台の上に載った安定した状態で操作ができるので、狙ったところで固定できる

  • 助手の筋持久力や、”気の効き具合”に依存しない

  • 人手がなければ、ピンを引っ張ってもらったり、台を抜いてもらうような操作は回りのコメディカルにお願いできる

  • 背板の角度の調整も頭台を抜く前に行え、省エネかつ確実。

手術のうまさ以上に、そういうベーシックなところが考えられていて非常に感銘を受け、見学の後、自分の病院に戻ってきて、早速取り入れた。


どうしてこんな簡単に楽になることに気付かないのかと思い知らされ、それからは極力もっと簡単にうまく行く方法がないかを考えるようにしている。

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