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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

病院再編!?

厚労省から、「機能が近隣病院と重なっていて、病床利用率も低いので再編を検討すべし」と公的・公立424病院が名指しで挙げられていることが、話題になっている。



遅きに失している感はあるが、増加し続ける医療費の問題に加え、医療者の働き方改革(時間外勤務・サービス残業を減らす)という面からも、再編・集約化は避けられないように思われる。

もちろん、名指しされた病院からすれば「とんでもない!」という報道だが、身近な医療専門職の受け止め方としては、「じゃあ、別の職場を探すか」「専門性を高めなければ」といった反応で、実際に困るのは事務方の方々なのかもしれない。

特に病院の他には働く場所がない、という地域も多いという話も聞くので、病院再編=地域再編になるところも出てくるのかもしれない。


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「脳外科は専門性が高いから、再編の渦に巻き込まれてもなんとかなると思っているか」というと、実はそんなことはない。


とりあえず思いつく理由としては

  • 脳外科医の数が外国と比べて多く、「本当に代替可能で無いか?」と問われたときに、「自分は大丈夫」と言い切れない部分がある。

(ただ、この点に関しては、少なくとも開頭手術に関しては、自分より上手いと思う外科医はそういないので、個人としてはあまり気にしていない。)

  • 単純に時間外労働が減ることによって、給料が減る?

(極端でなければ、自由な時間が増えてよいが。)

  • 自分と同様の考え方の医者が多ければ、都心で集約化された病院での競争は激化する。

(これも評価が妥当であれば、別に構わないし、そこに残れなくても仕方ない...)


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むしろ集約化が進まないことによるマクロの弊害があると思っていて、その結果として”早期に”医療財政がパンクする方が脳外科医としては怖い。

財政がパンクすると、脳外科手術のような”カネのかかること”は後回しになる可能性がある。

なので、症候性の良性腫瘍と、軽症のくも膜下出血くらいしか治療対象にならなくなるのではないだろうか。

つまり極端な話、自立した生活に戻れないのであれば治療する必要はない、ということになるおそれがある


そうすると、その疾患を治療する脳外科医となると集約化以上に少ない人数で済むことになるだろう。(レジデントが担当するような助手などはphysical assistantなどに任せる)


一方、集約化が進めば、(弊社では基本的にはないですが)無症候の小さい動脈瘤とか小さい髄膜腫/神経鞘腫などの手術も減って、無駄に切られたり放射線浴びる方も減って良い面の方が多いのではないか。


そもそも現在の医療へのアクセスの良さが、他の国と比べたら異常に良すぎるともいえるので、再編は仕方ないと思う。


医療機関の間の距離

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余談だが、最近増えてきた化学療法専門のDr.も同様かもしれない。

内科だから、さすがに一般内科ができるからいいよなーと思っていたら、「ケモ以外は診れません」と言っているDr.がいて驚いたことがある。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)


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