ボーンブロスで腸をいたわる?
- 木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

- 11月26日
- 読了時間: 3分
腸の健康と脳のはたらきの間に関連があって、腸内細菌叢の研究などが盛り上がっています。
例えば、セロトニンという神経伝達物質は腸に豊富にありますが、同じ物質が脳でも働いていて、セロトニンが不足するとうつ病になるといわれています。
YouTubeでたまたまおすすめに出てきた動画で、「体の不調は鉄が足りないからだ!」「でも腸の状態が悪いと鉄を摂っても吸収できずに気持ち悪くなるので、まず腸の状態を整えるほうが重要」という内容のものがありました。
まぁ、YouTubeなので、主張がやや極端(?)なのはおいておいて、確かに、貧血があって鉄材を処方しても、気持ち悪くなって飲めないという方がいるので、腸の方が弱っているのかもしれません。
その腸の状態を整えるために提案されていたのが、アミノ酸とボーンブロス(bone broth)。
ボーンブロス自体は聞いたことがなかったのですが、肉を骨・軟骨と一緒に長時間煮込むことで骨に含まれるミネラル・コラーゲンを抽出し、そのコラーゲンを含むタンパク質も分解してペプチド(アミノ酸が複数つながったもの)にしていただくというもの。
(検索して調べると、美容にも良いということでした!!)
体調不良で寝込んだ経験がある方はご存じと思いますが、「普通に食べる」という行為は意外と体力が必要です。
よく噛み、胃で攪拌し、酵素で分解し、小腸・大腸で吸収していく……。体調が悪いと、このプロセス自体がしんどくなります。
この動画では、腸の状態が悪いと、”腸粘膜の細胞どうしをつなげているタイトジャンクションが緩んでいるせいで”、分解が中途半端な状態でたんぱくや大き目のペプチドが吸収されるせいで、アレルギーが増えている、みたいなことを述べていますが、そのあたりの真偽のほどは専門でもないのでわかりません。
「アミノ酸や短いペプチドであれば腸粘膜の再生に直接使われ、腸の健康が回復する」という主張も紹介されていましたが、吸収されたアミノ酸がその場で再生に使われるかはやや疑問です。ただ、たんぱく質よりアミノ酸や短いペプチドのほうが吸収が良いこと自体は確かです。
実際、洋の東西を問わず、体力が低下しているときにはサムゲタン、あら汁など、骨ごと長時間煮込んだ料理を食べる文化があります。
経験的に「胃腸に優しい」食事として位置づけられていたのかもしれません。
この動画の中では、魚のボーンブロスを推奨しており、酸化するので、EPA/DHA(!)まで除いたボーンブロス(=出汁)を推奨しています。それほどお値段が高く無かったので購入してみましたが、美味しい出汁、というものでした。
ただ、魚の場合は臭みを取るのが難しそうなので、手始めに一般的な鶏手羽元を使って作ってみました。脂肪分もそこまで取り除かずに煮込みましたが、あっさりしたチキンスープになり、そのまま飲んでも全く問題ない仕上がりです。
調理は低温調理器が便利
問題は「4時間以上煮込むとなると、鍋につきっきりになるのは現実的ではない」という点。そこでGEMINIに相談したところ、低温調理器で95℃設定にすれば良いという回答を得たので、最近はその方法を採用しています。
手間が大幅に減るので、続けやすそうです。
良かったら、みなさんも試してみてください。
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
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ちなみに野中鉄也さんの著書「鉄の力」も読んでみました。
対談形式になっていて、魚のボーンブロス(出汁)を生産・販売されている方との話も面白い部分はありますが、若干スピリチュアル系の方も入っていたりして、苦手な方もいるかもしれません。





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