Peingでいただいた質問

刺す血管の「直径」が違うのと「血管の解剖」とが主な理由で、カテーテルの目的によって使い分けることが多いです。
足の付け根からの場合に用いる大腿動脈は、腕から行う場合の動脈(上腕動脈もしくは橈骨動脈)よりも太いので、様々な太さのカテーテルを用いることができますが、橈骨動脈になると大分細くなるため、使えるカテーテルの直径が制限されます。
今は腕から入れられるカテーテルが増えていますが、複雑な治療になると大腿動脈からアクセスし、場合によっては足+腕から3本/4本とカテーテルを入れて治療を行う場合もあるようです。
一方、検査のみで、複雑な操作は必要ない、枝分かれに個別にカテーテルを入れて撮影する必要が無いという場合には、腕から行う場合も多いです。
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解剖に関しては、脳に血液を送る血管は大動脈からの枝分れですが、左右対称になっていません。
なので、例えば動脈硬化が強い方で、右側の椎骨動脈だけ検査したい、という場合には右腕から撮影する方が、確実ということもありますし、左側の椎骨動脈なら大腿からアクセスということが多いです。
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その他に、患者さん側の要因で、例えば大腿動脈が動脈硬化で詰まっている/詰まりかけている場合もあり、そのような場合は動脈の壁が裂けたり、詰まったりするリスクが高くなるため、相対的に動脈硬化が少ない腕の動脈から行う場合があります。
また足から検査した場合には、検査後3−6時間くらい足を伸ばしたまま安静を保つ必要があり、腰痛持ちの方だと かなりつらいようですが、腕からの場合には検査後の移動に関する制限が少ないというメリットがあります。
一方で、上腕動脈や橈骨動脈の近くには手の神経があり、動脈自体は細くなるため、神経損傷などの合併症リスクがあります。
そういういろいろな条件を考慮しながら選んでいます。
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因みに普通の脳動脈瘤の開頭手術ではカテーテル検査の必要はなく、造影剤を用いたCT(とMRIの脳槽撮影)で十分です。
(場合によってはMRIのみでも可能)
カテーテル検査は近年かなり低くなっていますが、それでも脳梗塞や動脈解離、穿刺部血腫などの合併症リスクがあり、また頚動脈を閉塞させてしまうような治療でなければ、カテーテルでなければ得られない情報は少ないためです。
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
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