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執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

綿片の使い方

更新日:2018年8月15日


上手な人の(編集された)ビデオ見ると、脳の表面に綿片を置いてないと思うかもしれないが、特に経験の少ない間はを真似をすべきではない


それは、“術者の”小脳が十分に鍛えられていないと、特に道具の入れ替え等の際に、手前の脳に、傷をつけるおそれがあるためだ。


しかし、綿片を置いて、覆っておくことで、ダメージを最小化しうる。


また脳を吸引管でretractしているとき、吸引圧のコントロールが適切にできてないと、やはり脳を傷つけてしまうが、綿片を介することで吸引のコントロールが数段容易になる。


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綿片を持っていくときも、適当に置いていては上手くならない。


まず適切なサイズを選ぶ


脳の保護という観点から考えると、できるだけ大きな綿片1枚で脳を覆う方が良いように思う。

(ちなみにコラーゲンスポンジ(ゼルフォームⓇ)などで止血する場合は,できるだけ小さいものを使う方が、操作の邪魔にならない。)


そのため、手術が進んで術野が広くなっていくときには、綿片を大きなものに取り替える。

それにより軟膜(と軟膜血管)との癒着によって出血するリスクを減らすこともできる。


操作部分近くに綿片をおくときは、角・辺・面を意識する


出血点を探したり、点で止血する場合などは、綿片の角を用いることで、出血点やその周囲の構造を隠すことなく、(洗浄&)吸引により点を確認できる。


脳外科手術, 脳動脈瘤, クリッピング
角を意識した吸引

一方、fissureを分けているときや、腫瘍との境界を操作しているときは、綿片の辺を分ける境界に沿っておくことで、境界線を拡げる形でretractすることができる。


脳を覆ったり、軟膜が剥がれた部分でサージセルⓇなどをあてがった後はやはり面でしっかり包むことが重要だ。


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どの操作もそうだが、漫然とやるのではなく、一つ一つの所作の意味・目的を考えながら手術を行えると良いと思う。


もちろん、実際の手術でいきなり長考されても、周りのスタッフが困ってしまう。

原則は上級医、もしくは他病院の上手な医者の手術を、その場で質問しながら見て学ぶのがベストだが、無修正流出ビデオを等速で、「さっきの操作の意図は?」と議論しながら見るのも有効だ。



書いていて思ったが、一般の方が読むとびっくりするようなリスクが脳外科手術にはあるんだな。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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