Medical Tribuneで取り上げられていた記事。
JAMA.Published online March 24, 2020. doi:10.1001/jama.2020.4812
COVID-19絡みで「降圧薬を飲んでいるとやばいんじゃない?」という意見があるようなのだが、現時点の結論としては「降圧薬(ACEブロッカー(ACEI)、ARBと呼ばれる降圧薬)とCOVID-19へのかかりやすさ、死亡率には関係ないから、勝手に止めずに続けるように」ということ。
高血圧症の合併は、COVID-19の発症や死亡率を上げると報告されているが、それが高血圧症自体が悪いのか、高血圧によって生じたからだの変化(たとえば動脈硬化)のためのか、あるいは降圧薬を飲んでいるのが悪いのかということは分かっていない。
(高齢であることも、比較的早期からCOVID-19の悪化因子として知られているが、高齢になれば高血圧が増えるというのももちろんある。これは解析で寄与する度合いが調整されていると思われる。)
ACE2という酵素が肺胞にもあり、コロナウィルスが細胞に感染するときに補助的な役割をする可能性が言われており、ACEI/ARBを飲むことで、このACE2という酵素が増えるのが良くないのでは?ということらしい。
しかし、ACEI/ARBを内服することで、脳や腎臓ではACE2が増えることが知られているが、肺でこの酵素がどうなるかに関しては情報があまりないようだ。
一方で「ACEI/ARBでACE2酵素を増やす方が肺のために良いのではないか?」という研究もある。
上記のように「今のところ、良いか悪いか(それとも関係ないか)確証はないが、少なくともすぐに変更しなければならないような害はない」ということだと思われる。
しかし、世の中COVID-19の話題で埋め尽くされている中でも、脳出血やくも膜下出血の患者さんは運ばれてきている。
もちろん、そのような患者さんが、自己判断で降圧薬を中止していた訳ではない。
しかし、生命に関わる病気はCOVID-19だけではないので、慢性疾患をお持ちの方は、焦って医療機関を受診したり、自己判断で薬を止めたりするのは止めましょう。
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
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