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執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

「メンタルを強くする食習慣」

更新日:2023年8月9日

日経新聞に広告が掲載されていた健康本。




完全に広告に釣られたわけですが、「小さな町で有名医師でも治せない病気を治せると言われている名医がいた一」というところに惹かれて購入。


アメリカでは「You are what you eat (あなたは自分が食べたものでできている)」と 言われるようですが、やっぱり食生活が健康、というか生命の基本なのです。


なので「メンタルを強くする」というところにも興味があったのですが、「食習慣で患者さんの不調を治している?」というのが非常に興味深いと思って購入した次第です。


で読み始めてみると、意外に始めの方は生化学の話、つまり「生命の活動っていうのはミトコンドリアでエネルギーを作るところから始まる」というところから話が始まっています。


高校の生物で習うことですが、この辺は馴染みのない方にはわりと難しいかもしれないので、そこは読み飛ばしていただくとして、後の方で、著者が使用されているいろいろなサプリメントとその効用が書かれています。

(ビタミンやコエンザイムQ10など、比較的一般的に知られているものだと思います。)


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しかし一番面白かったのは第2章の「人生を楽しむことこそ健康への道」という部分です。


著者の飯塚先生は、あまり休みを取られてないようですが、本当に診療が好きなようで、「自分が興味あることは全然ストレスにならない」と書かれています。


これは非常によく分かることで、脳外科で、例えば長時間の手術で深夜になっていても、不謹慎ですが楽しんでやっている部分があるので、一般の方が想像する程は、あまり疲れないです。


”私もあんな風になりたいと思える人以外の言葉は無理に聞き入れなくて構いません”

”大事なことはすべての悩みは解決できると知っておくことです”

”解決できないことが大半だという考え方は洗脳から来ています”

勉強も、仕事も、人間関係も、「苦しくて当たり前」という考え方はおかしい、と説いています。


僕の外来にいらっしゃる患者さんにも、仕事が大変で血圧が高くなっているとか睡眠時間が取れないと仰る方がたくさんいらっしゃいます。

なかなかそこに介入することはできませんが、そんなに苦しい必要はあるのかな、とは思います。


よく言われることではありますが、自分の代わりなんて、実は沢山いるし、例えば僕は脳外科の手術が上手い方だと思っていますが脳外科をいきなり止めても、困る人はほとんどいないでしょう。世の中そんなものです。


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著者は、精神科をベースとして、漢方や鍼灸、オーソモレキュラー医学などを幅広く用いて、患者さんの生活全般に介入していくことで良い結果を上げているようです。


比べる訳ではありませんが、自分は脳外科の手術というごく狭い領域が、自分が最適化できる仕事だと思っており、それ以外の診療については、短い外来時間でそれなりの診断をつけて妥当な薬を処方することしかできません。


また書かれてるような内容で全ての病気が治るわけではないでしょう。


しかし、いろいろな不調で脳外科外来を受診され、CTやMRIでは何も異常がない患者さんがたくさんいらっしゃるのも確かで、「このように診療できたらいいな」という、ヒントにはなりました。


体の不調は、この本に書かれているようなビタミンやミネラルの不足で起こってることも多いと思うので、ご自身の生活習慣に取り入れられる部分があるんじゃないでしょうか。



(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)


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