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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

レジデントによる発表会

先日、勤務先の病院でレジデントの発表会に参加した。


自分で経験した患者さん(単数or複数)に関するブリーフィングと考察をプレゼンテーションするものだ。


いつも思うことだが、自分の意志で病院を選び、試験を受けて入ってきているレジデント達は、研修医だったころの自分よりずっと優秀で、将来の事をよく考えているように思えて、気後れしてしまうところがある。


プレゼンテーション

プレゼンの中で、一般的なことではあるが「過去の報告では...云々」という文言を使う。

つまり過去には数件しか報告されていない(稀な病気である)とか、この病気は予防不良で過去の報告ではこんなに悪い成績であるということ。


しかし、例えば癌の治療で、90年代や2000年代の治療法と単純に比べて、成績が良くなったと言うことにどれぐらいの意味があるのだろうか。

例えば、癌の世界では、分子標的薬やオプジーボのような免疫チェックポイント阻害薬のような薬物治療によって、予後が著しく良くなっている。

また癌の種類によっては手術前に投与することによって、以前は手術不可能と言われていたものでも外科的に切れるようになっているのだろうということは、余り興味の無い分野でも分かる。


もちろん、指導医から「これは珍しい病気だよ」とか、「技術的に困難な手術だから報告すべきだ」と言われて調べているはずだ。

そのような場合に、過去の報告を調べるのは基本中の基本な訳だが、調べた内容をそのまま鵜呑みにせず、治療可能になった背景、要因について考察すべきだろう。


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残念ながら今の医療は専門分化しすぎていて、他の診療科の常識、あるいは一般的な治療法がわからないため、ちょっと質問にしがたいところがある。

今回のような、いろいろの科が集まって発表するような場合には、できれば背景知識をブリーフィングしてもらえるとうれしいなと思った。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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