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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

食べた後の眠気やだるさ

歓迎会前の待ち時間に立ち寄った本屋さんで、平積みされていて買った本の1冊。



山田悟著「糖質疲労」


もともと手術した患者さんが「(痩せただけでなく)午前中の眠気が無くなった」と仰っていて、自分も試してみようとバターコーヒーダイエットを、既に15年くらい続けています。



それ以前は、朝電車で座ってしまうと、ほぼ寝ていたり、カンファレンス中も眠くて仕方なかったのですが、朝食を変えてからはそういうことは無くなっていました。


ただ、今の病院に異動してからは、昼食後の眠気が強くなっており、「歳のせいか?」と思っていました。


しかし、手術中は、自分が執刀しているときは全く眠くならないし(当たり前ですが)、どうも眠くなるのも食後に限られるので、(消化器系に血流が取られている?)と、素人的な推測をしつつ、短時間の昼寝は疲労回復にも良いはずなので、寝れるときは突っ伏して眠るようにしてきました。


(これは上山博康先生の手術を見学に伺った際、上山先生ご自身が手術の合間の短時間に、ソファの上で「おれ、ちょっと寝るから」と仰って、休憩されていたを見て、(やはり、精神力使うから、ちょっとでも脳ミソを休める方が良いよな。真似しよう)と思った経緯もあります。)


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もどりますが、著者はロカボの名付け親でもあり、低糖食を推奨している方です。


上記のような、『食事の後、しばらくして眠い、だるい。または、十分に食べたはずなのにすぐに小腹が減る、集中力が切れる、イライラする、首の後ろがずんと重くなるーといった症状があるなら、それは「糖質疲労」の可能性が大きいと思っています(p7)』と、いきなり(まさにそれです!)という記載があります。


著者によると、この症状は、「食後高血糖」と「血糖スパイク」によって引き起こされるということです。

食後に血糖値が上がるのは、医療従事者でなくても知っていることだと思います。血糖値が上がると、インスリンが分泌されて、血糖値が下がるわけですが、インスリン分泌の反応は少し遅いため、遅れて増えたインスリンのせいで血糖値がガクンとさがる=(時間 vs 血糖値)のグラフを書くとスパイク状になっているということです。


健診などで、空腹時血糖が110mg/dlを超えていると耐糖能異常と指摘されますが、耐糖能異常にいたるる10年以上前から食後高血糖を指摘することができ、中国人では成人の2人に1人に食後高血糖(血糖スパイク)が認められるようです。


血糖値に限らず、こういう「乱高下」が起こっているというのは、なんとなくでも身体に良くないと思います。(血圧や気分でもそうですよね)


それで、この血糖スパイクの何が悪いかというと、眠気などの原因になるのもそうですが、高血糖に端を発して、糖尿病や高血圧などのメタボリックシンドロームへと悪化していく、「ドミノ倒し」が起こっていく、と述べられています。


脳卒中, 高血糖, 糖尿病, くも膜下出血
メタボリックドミノ

糖尿病はもとより、インスリンによって糖が脂肪細胞に取り込まれて肥満を来し、心臓への負荷が増えて高血圧になるなど、脳卒中予防という観点からも重要です。


また、糖尿病はアルツハイマー病の危険因子であり、単純に高血糖自体が脳に悪い可能性もあります。


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では、血糖値を上げないようにするにはどうすれば良いのか?ということになりますが、そこで「ロカボ」ということです。

実際には「炭水化物を減らし、脂肪とタンパクを十分摂る」です。


1950年代から目の敵にされている脂質ですが、脂質を減らしても”体重は減らない”し、”動脈硬化も防げない”上に、”もともと心臓病がある人では再発率を上げる”という「エビデンスがある」ようです。

(根拠となる医学論文がきちんと参照されていることも、この本の良いところの一つです。)


タンパク質・脂肪を摂ると、「満腹感を作るホルモンの数値が高く、長く分泌され、空腹感を感じさせるホルモンの数値が低く、長く抑制される」ので、実際には体重を減らすにも有効なはずです。


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面白いなと思ったのは、「欧米人はインスリン分泌能力が高い」ので、食後に血糖値が高くなるとドバドバ、インスリンが分泌されて、糖を脂肪細胞にため込むので、ひどい肥満になった後、それでも処理できなくなって糖尿病が起こる。

一方、アジア系ではそこまでインスリン分泌が強くないので、「太らずに」糖尿病になる、ということです。


内分泌科の医師には常識なのかもしれませんが、(そういう差があるのか!)と思いました。

よく「太っている訳じゃないのに(2型)糖尿病」が日本人では珍しくないのは、そういうことなのでしょう。


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15年もバターコーヒー続けているので、この本で主張されていることについては、「多分、そうなんだろうな」と感じました。

つまり、朝は炭水化物を摂らないか、食べても果物少量なので、血糖スパイクが起こらなかったということでしょう。


なので、今後は昼食の炭水化物(ご飯)を減らし、タンパクを増やそうと考えているところです。


唯一、(ちょっと苦しいかも)と思ったのは、果物についてです。

果物に含まれる果糖は、食後血糖(ブドウ糖濃度で測られる)は上がらないものの、「体内で中性脂肪に変わり、肥満・脂肪肝を引き起こしやすく、インスリンの働きを弱めることが報告されています」(p28)

🤦


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健康法全般について、同じことですが、健康は、何らかの目的を達成するための「手段」であり、「目的」ではありません。


「健康のためなら死んでもいい」というジョークがありますが、眠気やだるさで時間が無駄になっているのが、改善できたら良いなと思っています。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)


ちなみに、入院すると、主食はてんこ盛りの白飯なのですが、(カロリーベースではそうなんだろうな。。。)と思ってはいますが、バターコーヒーダイエットをやっているくらいなので、その辺りの栄養学的なガイドラインについては懐疑的です。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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