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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

もやもや病の長期予後

小児期にもやもや病と診断された場合は、脳梗塞を起こして認知機能や就職の面で不利になることがあるため、原則として血行再建術(手術)をおすすめします。

では、長期的な脳卒中のリスクはどうなるのか?に関しては気になるところです。


しかももやもや病に対する手術方法は、三者三様で、頭蓋骨にたくさん孔を開けて、皮膚から血管が入るようにする方法(美容的には??)から、側頭部だけでなく、前頭部までいったん脳を露出して、広い範囲で皮膚・骨膜などからの血流を期待する方法までさまざまなのです。


もやもや病(moyamoya disease)というだけあって、長期に経過を見た報告がいくつか出ていますが、日本脳神経外科学会誌に出ていたreview。


Neurol Med Chir (Tokyo) 2018 Jun 15;58(6):240-246. doi: 10.2176/nmc.ra.2018-0026.


京都大学では、初回手術は比較的シンプルな直接+間接血行再建を行っているようですが、術後、長期(平均18年)に経過をみている58人のなかで、脳梗塞を起こされた患者さんが1人、脳出血を起こした患者さんが3人いた、ということでした。


また別のグループからの平均14年経過を見た観察研究では、172人中脳梗塞3人、脳出血が3人いたということです。


両方とも、数としては少なく、人年法という方法で、経過を見た期間も考慮して、年間の脳卒中リスクを考えると、それぞれ0.41%、0.24%。

これを高いと考えるか、低いと考えるかは、高齢の方の脳梗塞や脳出血とは意味合いが違うので個人差があると思いますが、普通に外来で経過を見ていると基本的に経験しない頻度です。


しかし、大人になってからの脳卒中の内、脳出血が2件起こっているのは留意すべきです。


つまり血行再建(バイパス手術)を行った後でも、異常な血管に負荷がかかっているのか、かかるようになって出血するということだと思います。




(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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