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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

塩分と脳卒中(など)

更新日:2018年9月12日

また食生活について。


塩分の取り過ぎは血圧が上がったり、脳卒中の原因になったりということから、「塩分は控えましょう」ということがよく言われる。


WHOもナトリウムを1日2gに抑えよう、というキャンペーンをしているらしい。

(「え、2g!?」と思ったが、食塩換算で5g。それでも厳しいが)


塩分,脳卒中
...味噌汁だけで2g

塩分摂取量が増えると血圧が上がるという報告はあるが、コミュニティ単位でどうか、については今まで報告はないらしく、その問いに答えるような論文とのこと。


Lancet. 2018 Aug 11;392(10146):496-506.


ナトリウムの摂取量が少ないグループ、中間、多いグループで脳卒中や心筋梗塞の起こり方に差があるかを8年くらいの期間で調査している。

この(多くは中国人)塩分摂取グループというのは1日摂取量が食塩で12.5gということなので、今の日本の基準からいうとかなり多めである。


塩分摂取量に関しては、朝起きて最初の尿(中間尿)を採取し、1日ナトリウム摂取量を推定するのと、生活習慣に関する質問票という方法をとっている。

また食生活に関する質問から、ナトリウムの排泄を助けるカリウム摂取量に関しても調べている。


結果だが、塩分摂取の”多いグループ”では、ナトリウム摂取量が1g増えると、血圧が2.86mmHgあがった。

また、たくさん塩分を摂取するグループでは、血圧上昇に伴い脳卒中が増えたが、塩分摂取量が少量・もしくは中位群(この集団の中では真ん中の群)では1g(食塩2.5g)増加しても、変化はなかった。


以前は東北地方を中心に、塩分の多い食事が大きな要因となって脳卒中が多かった、という本邦の歴史とも矛盾しない結果だ。


面白いなと思ったのは、心筋梗塞や、その他の心血管イベントは、塩分摂取量とはあまり関係ないというところ。


塩分摂取によって血圧があがり、それが動脈硬化を進ませて心筋梗塞なり大血管の病気(大動脈瘤など)に繋がるということは言えなかったようだ。


この点については、心筋梗塞を起こすような動脈硬化を来すには観察期間が短かったということかもしれないし、反対に脳卒中はそれほど長期間高血圧になってなくても起こる、ということなのかもしれない。


前にいた病院で神経内科のドクターが、男性の単身赴任(と独身)が脳卒中の危険因子」という報告していたくらいだから、脳卒中は比較的短期間の食生活・血圧の変化で起こる可能性があるかもしれない。


この研究ではカリウムの摂取量も調べていて、カリウム摂取量が多いほど、脳卒中も心筋梗塞も少なくなった。

カリウムはナトリウムを身体から出すのを助け、果物に多く含まれる。

なので、「究極の食事」に出てくるように積極的に果物を摂るようにするのがよいだろう。


(ただし著者らは、果物の摂取が多い=リッチな食生活が、脳卒中などが少ない原因かもしれないと述べている。全般的にいいもの食べている方が、脳卒中/心筋梗塞を起こしにくい可能性があるということだが、この調査では分からない)


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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