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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

「太らないカラダ」

自分がダイエットする必要は今のところなさそうだが、外来患者さんに提案できる内容があればと思って読んでみた。



さまざまな肥満に関する研究があるが、その中でもヒトを対象にした論文のみを根拠にして、今までに分かっていることをまとめ、どうやったら”やせられるか”を提案している。

実際にネズミでは有効だがヒトでは効果なしという薬はゴマンとあるが、必ずしもヒトに当てはまるわけではない。


まとめると

  • カロリー制限は肥満に対しては無効

  • 低脂肪ダイエット(脂質制限)は無効

  • 肥満の原因はインスリン濃度が「持続的に」高いこと

なので、著者のおすすめは

  • 精製された炭水化物(パン、白米etc)を避ける 

  • 良質の脂肪をとる (エキストラヴァージン・オリーブオイル、ナッツ、アボカドなど)

  • 食物繊維(ナッツ,こんにゃくなど)と酢をとる

  • 食事をとらない時間を長くする

元になる論文(観察研究)が同じなので、摂るべき食べ物については当然、類書と同じになる。


ただ、この本では血液中のインスリン濃度が高い状態が続くと肥満につながる、というところに重点を置いている。


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炭水化物制限のダイエットと言えば、アトキンス・ダイエットが有名だ。


アトキンスダイエットとの違いについても述べられているが、アトキンスダイエットも確かに有効だったが、2年くらい経過を見ると、ほとんど同じ割合で体重が戻っていた

著者は、甘いものを摂らないようにするのは「欲望を満たせない」からだと指摘し、インスリン濃度が高い時期が続いたことで、身体がインスリンに慣れてしまっている(インスリン抵抗性がある)ためだとしている。


そこで、インスリン抵抗性を改善する(抵抗性を起こさない)ためには、1日のなかでインスリンの分泌量が少ない時間をもうける必要があるとしている。


そのために、「間食は避ける」「食べる回数を減らす」「空腹の時間をつくる」というところが類書と異なるところであろう。

(ただ他の健康法でも、寝る前4時間は食事を摂らないとか、別の言い方では言及されており、結局は同じともいえる。)


ちなみに運動は「筋肉の」インスリン抵抗性を改善するが、全身の肥満に対する効果は少ないようだ。


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現状自分には、いわゆる”ダイエット”、というか減量の必要はないが、一般的に加齢に伴って糖尿病の発症リスクが高くなることを考えると、糖尿病を予防するという点では参考になった。


要注意

  • 糖尿病の治療している人は、いきなり真似すると危険 (特にインスリン注射を行っている方、内服薬の副作用に「低血糖」が入っている方)

  • 米国人の肥満の話なので、KONISHIKIのような中心性肥満の話であることに注意が必要。(一般論としてBMIで25未満の人はダイエットの必要はないでしょう。)

  • PubmedでJason Fung氏の論文を検索すると、腎臓内科なので腹膜透析の論文が出てくるが、食事法に関するものはopen accessのBMC case report (2018)というのは気になるところ。


肥満,脳外科,脳卒中
アメリカ人の肥満とはレベルが違う

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(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

確証バイアスで、自分に都合がよい本ばかり読んでいる可能性があります。

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