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道具としてのバイパス手術

脳梗塞予防に対してのバイパス手術に関しては、その効果を疑問視する声もあり、メリットを受ける患者さんは限られていますが、脳動脈瘤や脳腫瘍もバイパスを作ることによって合併症(後遺症)リスクを減らすことが可能な場合があります。

(バイパスを作ること自体の危険性・患者さんへの負荷が許容できる(=道具として使える程度の確実性があり、妥当な時間で準備・施行できる)場合に限られます。)

橈骨動脈を用いたグラフトバイパス

​内頚動脈の巨大動脈瘤など、通常のクリッピング手術や血管内手術では治療困難な動脈瘤に対して、腕の動脈(もしくは足の静脈)を用いたバイパスを行っています。

​この手術も技術的には確立されたものであり、慣れているチームであれば、バイパスが詰まるトラブルはほとんど起こらないと思われますが、それでも頭、頚部、腕(もしくは足)と3箇所に傷ができることになります。

なかでも腕の創はどうしても目立つことから、とくに海綿静脈洞内の動脈瘤に対しては、くも膜下出血を起こす危険性が高くないこともあり、血管内手術(flow diverter stent)、もしくは経過観察をお勧めすることが多いです。

​(自分の家族なら経過観察を勧めると思うからですが。)

内頚動脈瘤,巨大脳動脈瘤,血栓化動脈瘤

水頭症で発症した、巨大血栓化内頚動脈瘤

巨大脳動脈瘤,バイパス,内頚動脈瘤

浅側頭動脈ー中大脳動脈吻合術(矢印)によりグラフトバイパス(▲)作成中の虚血を防いだ。術後、両方のバイパスが開存。

巨大脳動脈瘤,バイパス,内頚動脈瘤

術後とと6年後のMRI。水頭症は術直後から改善。

本ページの内容は前職(NTT東日本関東病院)在職中、ホームページ上での情報提供のために作成した内容を、一部改変、加筆したものです。

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