脳外科外来に頭痛やめまいで受診される方の中には、収縮期血圧が180mmHgを越えていたり、拡張期圧(下の血圧)が100mmHgを越えている方もいる。
それが直接、頭痛やめまいの原因になっているかどうかは別にしても、特に40代から60代くらいの方に関しては、そのまま放置する訳にもいかず(?)、降圧薬の内服を勧めることが多い。

どのくらい高ければ内服を勧めるか、に関しては、医者によって差があり、循環器科などでは場合によっては130mmHgでも内服を勧めることがあるだろう。
(もちろん、その提案にも併存疾患などの根拠があるはずだが。)
血圧や高血糖は、そのままにしておいても「急変する」(例えば脳出血など)かどうかに関しては”運次第”だが、長期的には心臓・脳をはじめ、循環器系に悪影響を与えるのは確実だ。

個人的には、初診で少し高めの血圧で、いきなり薬を出すことは原則ないが、急変するリスクまで考えて、仕方なく内服を提案するとき、
「でも高血圧の薬って、飲み始めたら一生飲むんですよね。(だから飲みたくないです。)」
と返されることが多い。
この質問に関して、答えはYesでありNoでもある。
つまり、血圧が上がっているのには、それなりの理由があることがほとんどであり、血圧を上げている原因を取り除けれて、血圧が下がってくれば継続して内服する必要はない。
もちろん加齢のように、どうしようもない原因もあるが、喫煙、肥満、運動不足、寝不足やストレスをため込んでいる状態などは、改善しようがある。
特に太っている40、50代男性は、痩せるだけで10~20mmHgくらい下がる人が結構いる。
喫煙も動脈を収縮させることが知られている。
止めてしばらくは「口寂しくて」食べてしまって体重が増えることがあるが、それでも長期的にはプラスの効果が得られる。
ただ、実際には生活スタイルを変える方が、薬を飲んだり、定期的に医者にかかる手間よりハードルが高い方が多く、慢性的な高血圧症ということで、一生飲むことになるのだろう。
結局、前の質問に対しては、「今の血圧が高いのは、ご自身の生活習慣の反映であり、今は高すぎるので内服をお薦めしますが、その習慣を変えられなければ一生飲む羽目になりますね」というのが答えになる。
これはコレステロールの薬に関しても同様で、できることなら生活習慣を見直して、薬を減らしましょう。
(ただし、遺伝的にコレステロールが高いとか、別の病気があって高血圧が起こっている場合は異なる議論なので注意)
(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)
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