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執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

顕微鏡のドレープ

現在、主に使っているLeica社の顕微鏡。

光学系以外は三鷹光器製なので、swing weightが軽く、手術中に何百回となく方向を変えて手術するには非常に快適だ。


脳外科手術,顕微鏡
Leica顕微鏡

顕微鏡は内視鏡などとは異なり、そのまま全体を消毒(滅菌)する訳にはいかない。

そのため全体を袋状のドレープで覆って用いる。


拡大鏡になっている部分はハンドルが付いていたりして複雑な形状をしており、これにぴったりフィットするドレープ(ビニル袋)を用意するのは現実的ではない。

なので、だぼだぼにデザインされたドレープで覆い、必要に応じて輪ゴムやテープで固定する。


ただ、何も考えずに覆って、適当に縛ってしまうと、このひものために動きが制限されたり、助手鏡側のドレープが突っ張って動かせなくなることがある。

また袋状に出っ張った部分があると、術者の頭部などに触れ、常在菌が付いて汚染される(不潔になってしまう) 可能性がある。


前の病院で使っていたZeiss社製Penteroにはドレープ吸引という装置がついていて、最初に見たときは"よく気付いたなあ"、と感動した。

鏡筒に吸引口が付いていて、空気を抜くことで、顕微鏡がドレープで真空パックされるようになる(そこまでぴったりする訳ではないが) 


このドレープ吸引って地味に便利で、

  • ドレープが内に凸になる。

  • テープによる固定のようには、可動範囲に制限がない。

しかし残念ながら、今使っているLeicaにはドレープ吸引がついていない。

ま、いろいろ付ける程、取り回しが重くなるので悩ましいところだが。


ただ、他社の顕微鏡でもドレープ吸引の考え方を応用できる。

つまり、ドレープを書けるとき、出っ張る部分がないように、できるだけ内側に凸になるようにするのだ。

使用しない助手鏡部分も内側に突出させた状態にしてから固定していくことで、浮かないようにする。


脳神経外科,手術,顕微鏡
出っ張りは内に凸にする。

内に凸になるように気を付けるだけで、取り回しや、だぼだぼ感が改善する


後期研修医くらいで顕微鏡にカバーをかける際に、こういう細かいところに気がつくと、「お、気がきくね。」と評価が少し高くなるかもしれない。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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