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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

中里信和先生講演会

更新日:2019年3月24日

先週参加した講演会で(改訂てんかんガイドラインに関して) 勉強してきた備忘録的内容。

(何年か前にも講演会に参加し、非常に勉強になったので、今回も参加してきた。)



改訂されたてんかんガイドラインに関しては、製薬会社のMRさんからも説明を受けていた。しかし、彼らは、どうしても自社製品の宣伝しなければならないという前提があり、もう少し詳しく知りたいと思っていたところに、ちょうど良いタイミングであったといえる。



今回の改訂は、タイミング的に新規抗てんかん薬が出始めたところで、これらの薬剤がexpert opinionで上位に来るところまでは食い込めていないため、結果的に(今回の後援企業である大塚製薬の)levetiracetamヨイショの仕上がりになっているということ。

もちろん、それだけ良い(=使いやすい=効果があって合併症が少ない)薬ということなのだが。


主な内容としては


  • 抗てんかん薬を内服していても授乳はOkであること。


  • フェニトインやフェノバルビタールを使う機会はほとんど無くなってきているということ


  • バルプロ酸やカルバマゼピンについても効果は高いものの、副作用のことを考えると、今後は新規抗てんかん薬を第一選択に使うのが良いだろうということだった。


確かにcarbamazepineより、それほどたくさん処方している訳ではないがlacosamideの方が使いやすいし、perampanelも眠気以外はあまり副作用がなさそうではある。


しかし、テグレトール錠と、ビムパット100mgで薬価が60倍(!)近く異なることを考えると、患者さん全員に新規抗てんかん薬というのはどうなのだろう。


もちろん自立支援制度などで患者さん本人の負担を減らすことはある程度できるが、不足分を補うのは税金(etc)だ。

妊娠する可能性がある女性にvalproateやcarbamazepineを処方しないのはともかくとして、やはり一通り検討して処方するのが全体最適に繋がるのではないだろうか。


またガイドラインでも若年性ミオクローヌスてんかんに対してはvalproateが第1選択なのだが、PRLレベルが上がったり、肥満のリスクがあるため、演者としては長期的なことを考えてLEVを第一選択にしているということであった。


これについても、若年性ミオクローヌスてんかんの患者さんを自分がはじめから治療することはないだろうが、しかし、最初の薬剤選択を、一生飲むことを考えて選択するというのは、非専門医には、いやもしかしたら専門医にも荷が重くなるのではないだろうか?


例えば高血圧の患者さんに対しても、いろいろな選択肢の中から病態や患者さんの生活背景などもまで考えて、最善と思われるものを選択するだろう。しかし一生その薬から変えないつもりで処方しているかと言われると、新しいエビデンスが出てくるかもしれないし、あるいは知られていなかった副作用が明らかになるかもしれない。


新規抗てんかん薬にしても、今は安全だと思われているが、実は蓄積効果で何らかの影響が出ないとは言い切れないだろう。

(もちろん既存の薬剤には知られている副作用があるわけだから、それを考慮するのは当然であるが。)


と、いろいろ思うところはあったが、専門外のちょっと複雑なことについて、エッセンスだけ平板に説明してもらえると考えると、非常に効率の良い、勉強になる講演会だった。


(追記)

ガイドライン作成に際して、エビデンスレベルを厳密にすると、(というよりは杓子定規に適応すると)、いわゆる側頭葉てんかんに対する側頭葉切除は、推奨グレードが下がってしまい、実務家からクレームが出たということだった。

エキスパートオピニオンによるガイドラインも微妙ではあるが、憲法学者のような考え方も考えものである。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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