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  • 執筆者の写真木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

手術が「下手」とは(2)

更新日:2023年8月9日

20世紀と比べれば全身麻酔も安全になっているので、きちんとした麻酔科医が管理している病院で、もともと心臓や肺が悪いなどの問題がない患者さんであれば、3時間の手術が5時間かかっても、あまり入院期間や仕事への復帰には差はないことが多い。


保険会社の支払いが術後の入院期間を決めるアメリカなどと違い、日本ではちゃんと抜糸して、かなり万全な状態になるまで入院していても、(逸失利益は別として)患者さんの経済的な負担は変わらない。

しかも、病院としてはベッドが空いているよりは、比較的元気で手のかからない患者さんが入院している方が収入になる。


笑い話のように聞こえるが、田舎だと「田植えが終わるまで」とか「雪がとけるまで入院させてほしい」というリクエストがあるくらいだ。


(コロナ禍で病院のベッドが足りないという報道が毎日されているが、実際には「重症コロナ患者を治療できるベッド(と看護師)」や「コロナ感染症で入院して、一段ADLが下がった高齢の方が施設にもどれない」などで塞がっているベッドが多いということであり、実際にはベッドが空いている病院は多い。)


なので、脳外科から見た「あの人はあまり上手くない」とか「下手」というのは、患者さんの満足度的には、本質的ではない可能性がある。

後遺症が無くて、満足感が高ければ、それに越したことはないのだ。


***********************


とはいっても、一方で、3時間で終わる手術なら、3時間で終わる方が、一人ひとりの患者さんにとってはやはり「楽」だし、復帰も早いのも事実である。

実際、若い方だと、入院生活はいろいろ制限がかかるし、退屈なので、脳外科でも病気によっては術後3日で退院ということも多い。


手術が無茶苦茶下手な脳外科医が、独断で治療方針を決めるような診療している病院はあまり無いと思うが、実際には上に述べたような技術(~所要時間)の差はあるので、可能な場合は(=待てる手術なら)セカンドオピニオンを利用する方がよい。


セカンドオピニオン先の病院で、(7時間が)3時間と言われ、患者さんがそちらを選ぶのなら、向上心のある外科医なら、手術の見学に行かせてもらうなり、教科書や学会・Webinarなりで世界のベストプラクティスをもう一度勉強するだろう。


セカンドオピニオンでも、説明の内容がほぼ同じであれば、納得感にもつながる


「担当医が気分を害するから」と遠慮される患者さんもいらっしゃるが、上のようなことも実際にあるのです。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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