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頭皮クリップは"ぎちぎちに"かけなくてよい

執筆者の写真: 木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター木村 俊運 @ 日本赤十字社医療センター

局所麻酔の話に引き続き、皮膚の止血の話。


頭皮はちょっとしたケガでも結構出血してびっくりするが、当然脳外科の手術でもこの血行豊富なことが問題になる。


そこで動脈の止血を行ったあと、頭皮にクリップをかけて、圧迫して止血することが多いと考えられる。


脳外科手術, 脳動脈瘤
頭皮クリップ(使い捨て)

研修医の頃は、頭蓋形成術という、外傷や重症くも膜下出血後の後始末的な手術があり、この頭皮クリップを「いかに早くかけるか」ということに情熱を燃やしていた。

(これは当然、今でも役に立っているわけであるが)


以前は切開した部分全てに、できるだけ隙間なくクリップをかけるようにしていたが、果たしてこれは必要だろうか?と思うようになった。


結局、やっていることは圧迫止血なので、出血している部分のみ圧迫していればいいし、皮弁を翻転したり牽引することでも止血が得られる。

(局所麻酔、というかepinephrineを十分効かせているということが前提)


むしろクリップの間に隙間が無いと、開創するのに邪魔になったり、皮膚の柔軟性が制限されてしまってデメリットが多いように思う。

外傷などで急いでいるときも、出血のコントロールに必要な部分だけクリップをかけて、骨や内部の操作をする(減圧を図る)方が、早く頭蓋内圧を下げられて予後に貢献できるのではないだろうか。


(文中意見に係る部分はすべて筆者の個人的見解である。)

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